人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
「障がいのある方の『働く』を支えたい!」
「就労を目指す人の力になりたい!」
少子化の日本では、「労働力の確保」は経済を活気付けさせるために必要なことです。
就労を目指す障害者に対して適切な就労支援が行われるように「就労支援」という仕事が福祉の仕事にあります。
障がい福祉分野においても「就労」は大きなテーマであり、働くことを支援することによって障がいのある方の経済力や生活の質を向上させる必要もあります。
『就労支援を通じて障がいのある方をサポートする』
その中に「職業指導員」と「就労支援員」という職種があります。
ですので、将来性という意味では、職業指導員と就労支援は非常に重要な仕事といえます。
今回は「職業指導員と就労支援員」をテーマにお伝えします。
・福祉の仕事で就労支援/職業指導員に興味がある方へ
・障害者を支える仕事に興味がある方へ
職業指導員と就労支援員の違い
混同しがちな職種ではありますが、「職業指導員」と「就労支援員」があります。
簡単に言えば、職業指導員は「民間企業に就労を希望する障害者への支援」就労支援員は「就労を希望する人全般」といえます。
職業指導員について
職業指導員は、民間企業への就職を希望する障がい者のために、その人が必要な知識や技術を身につけるためにサポートを行う職種です。
また、地域で展開している就労支援事業を利用している利用者に、「働く技術や知識」を軽作業などの独自の作業を通じて、指導及び支援をしていく職種になります。
そのため、障がいのある方の適正や好みに応じて訓練を提供していくことになります。
知識や技術だけではなく、社会人的なマナーも教えることも必要になってきます。
就労支援員について
就労支援員は、障がい福祉施設の利用者だけではなく、生活保護受給者やその他事情がある方で『就労を目指す全ての方』がサポートの対象となります。
「就労を支援する」仕事ですので、施設内での利用者への技術的な指導もあることはあるのですが、「職業実習や就労先の開拓」「就職した場合の定着支援」や「関係者との連絡・連携」など就労に関する様々なことが、仕事として必要になってきます。
職業指導員と比較すると大きくは変わりませんが、対象者の幅が広いため、実際に働くまでの「基礎的な能力の訓練・支援」を提供するようなイメージです。
障がい福祉事業においては、就労移行支援事業を手がけているところが、就労支援員の専任として働くことが多いと思います。
職業指導員と就労支援員の仕事内容の違い
仕事内容の違いは、「民間企業で働くための技術や知識をメインに指導していくか?(施設や企業問わず)「就労をする」ことをメインに支援していくか?」というところが違いになりますが、あまり大きく違いはありません。
障がいのある方や事情がある方の『働くを支える』ことに関しては全く同じことです。
職業支援員と就労支援員はどのような職場で働くのか?
障がい福祉サービス事業所の中でも、就労支援を行なっている事業になります。
・就労継続支援事業A型
・就労継続支援事業B型
・就労移行支援事業
・就労定着支援事業
上記が主なものになります。
就労支援員も職業指導員も基本的に「就労系事業」で働くことになります。
職業指導員と就労支援員になるには?
この2つの職種になるために明確な資格要件はありません。
ですが、職業指導員の場合は、技術指導ができるような経験や技能があると良いですし、就労支援員の場合は同様に技術指導ができるような経験技能があると良いと思います。
それに加え、「雇用に関する制度」や「障がい福祉に関する制度」などに詳しいことが必要になると思います。
就労支援員に関しては、経験を積み『ジョブコーチ』の資格があると良いですし、社会福祉士があると制度なども理解しやすいかと思います。
実際には働きながら覚えることが多いと思いますし、それほど働くことに困ることはないでしょう。
前職が介護・福祉業界以外で働いた経験がある方であれば、他業界の知識や技術などが利用できることもあります。
ですので、障がい福祉サービスにおいて就労系の事業所は、他業界でのキャリアが活かしやすい職種だともいえます。
就労継続支援事業A型について
就労継続支援事業A型事業で行う仕事は、基本的にはB型事業と変わることはないですが 、B 型事業とA型事業の根本的な違いは、利用している方々を「雇用する」ことになります。
そのため A型の場合は、自治体が定める最低賃金を働く利用者の方に保障しなければなりません。
工賃に関して最低賃金を支払えるような作業環境が必要になってきます。
工賃を保障できる作業環境を構築する事も、仕事になりますので、経営感覚は身につけておく必要があると思います。
例えば、生産業として就労継続支援A型を事業展開しているのであれば、常に仕事があるように営業先の確保や生産量をコントロールしていくことも必要ですし、働く利用者へのサポートもする必要があります。
就労継続支援事業B型について
就労継続支援事業B型はA型と違って、最低賃金の保障は必要ありません。
しかし、A型と違ってB型は、福祉的なサポートを受けながら「働きたい」というニーズが、A型事業よりも強くあります。
つまり、A型の利用者より「障がい程度」が重たい傾向になります。
比較的A型の作業よりも、B型の作業が軽作業であることが多いですし、A型事業の利用者と比べ、実態としてはB型事業所の利用者の方の生活的な支援もすることもあります。
イメージとしては、
- A型事業所が福祉的なサポートを受けながら「バリバリ働きたい!」
- B型事業所は福祉的なサポートを受けながら「少しでも働きたい!」
上記のような感じでしょうか?
基本的にはどちらも「利用者ニーズ違い」があるだけであって、働くことを支援することに関しては同じです。
就労移行支援・就労定着支援について
実際に民間企業への就労を目指す方が、就労移行支援事業を利用します。
障がい福祉分野での就労移行支援事業であれば、利用する方は障がいのある方の就労支援ということになります。
ハローワークとの違いについては、職業紹介ではなく、利用者の方の適正や目標に沿って、就業先を開拓していくことが違いになります。
ただ単に仕事を紹介するというより、民間企業に就職するためのサポートが必要になります。
例えば、「なりたい職業」があるのであれば、それに対して必要な訓練を個別に提供することが必要になりますし、採用面接などの練習もする必要があります。
民間企業への就労ができたとしても、実際のところドロップアウトしてしまうことも多く、定着するための支援も必要になってきます。
「就労まで結びつけたら終わり」ということではありません。
そのために就労定着支援事業があります。
障がいのある方の雇用数は増加し続けていますが、民間企業への就職後の職場定着率には障がいの種別によって「定着率が下がる」という現状がありますので、定着支援は重要な仕事といえます。
職業指導員と就労支援員はきつい?実態は?
職業指導員の就労支援員は将来性が高い仕事になりますので、需要は今後さらに高くなるとは思います。
しかしながら、職業指導員と就労支援員として働くためには経営感覚を身につけておく必要があります。
「経営感覚をみにつける」意味では、前職が一般企業などの経験がある方であれば理解しやすく、働きやすい所もあるかもしれません。
しかし、職場方針によっては、受け入れられないことも多いかもしれません。
その時は「きつい」と感じると思います。
就労支援系の事業所でも、考え方によっては差が激しい実態が存在しています。
たとえば、就労支援事業所のB型でも、経営的なアプローチを徹底的に行って高水準の工賃を利用者に支給している場合もありますが、一方で利用者への工賃支給が数千円にも満たないところも存在します。
ですので、就労支援事業の職場選びについては、事業として働くことをサポートする考え方はあっても、方針は事業職場で違ってきますので、必ず自分に合った事業方針を展開しているところが転職先には必要になってきます。
まとめ:就労支援員とは?「働く」を目指す人をサポートする仕事
障がい福祉業界で初めて働く人にとっては、就労系の仕事は比較的馴染みやすい職種であろうと思います。
また、就労系の事業所も増えてきていますがm転職をしようと思えば非常に多くの求人票があります。
職場方針によって「働きやすさ」が違いますので、必ず職場見学などをして吟味していく必要がありますよ。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。