ブラックな介護施設:介護士のストレスが不適切なケアになる理由
人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
介護・福祉施設で問題となっている「虐待」や「不適切なケア」について、度々メディアでも事件化します。
メディアで報道される虐待関連のニュースは、ほんの一部で各都道府県ごとに「虐待事案」「虐待グレーゾーン案件」「不適切なケア事例」はあります。
これは、介護・福祉業界の「経験の有り無し」に関わらず、介護・福祉業界で勤めようとするのであれば、「ある一定の虐待についての自身の考え」は持っていた方がいいです。
介護・福祉業界で多くの事業所は、虐待防止について研修等を積極的に行っているのではないかと思います。
逆に行っていない事業所は、極めて「まずい」と思います。
児童・高齢・障がい・その他の福祉分野がなぜ、サービスを展開しているのか?
「社会的な不利な状態にある方を支援する」
このことが福祉の役割でもあるからです。
ですが実際問題として、どうしても支援する側が強い立場になりやすいことは否めません。
その中で「専門職として倫理観」を持って仕事をすることが必要になってきます。
今回は「ブラックな介護施設:介護士のストレスが不適切なケアになる理由」をテーマにお伝えしようと思います。
・介護職(福祉職)をしていて虐待がない職場を探したい方へ
・サービスの質をあげていくためには、ストレスの少ない職場づくりが一つの方法です
\ あなたにとって理想の職場/
ブラックな介護施設:介護士のストレスが不適切なケアになる理由
虐待を防ぐ方法のたったひとつの方法は、職員のストレスケアの一択です。
ストレスを緩和させる取り組みを職場全体で行うことです。
職員個人の「人格的なものが原因」な場合、研修の効果があると思います。
そもそも福祉的な考え方に向いていない人材は、採用するべきではありませんが、人材不足という実態もあるので、虐待防止のためにも、研修が全く意味がないわけではありません。
しかし、新職員の方には研修の効果があっても、効果は徐々に薄くなっていくものです。
基本的に虐待が起こってしまう理由は、「倫理観が崩壊してしまう」ことによって起こります。
この「倫理観の崩壊」が原因になることが多いと考えています。
そのような感覚と似ています。
専門職の職員も「虐待に至る」最初の大きな要因となるのが「ストレス」です。
上記の状況は、現場で働いていたら多くあります。
自分たちの支援能力をいかに超えていても、対象者を支援しなければならない。
そのような状況でも、介護・福祉の業界には「正解の支援」はありません。
「最適解」「ベストなものが何か?」ということをサービスを提供していく必要があります。
サービスの提供は個人で行われるものではなく、組織で行われるものです。
つまり難しい支援でも、「職員のみんなで方法を検討をして、ノウハウを積み重ねながら支援をしていく」のです。
個人のスキルも必要になりますが、個人のスキルで対応できないことなんてたくさんあります。
だから組織のスキルが必要なのです。
周りのサポートがないまま「難しい支援」ばっかりしていたら、ストレスが蓄積され、倫理的な判断ができなくなってくるのは当然のことです。
「虐待のような行為」が起きたとしてもいち早く周りが止めてあげる必要があります。
そのことで、エスカレートすることを止めることができます。
基本的に「組織的なサポートがないため、虐待は負の連鎖」として組織自体を崩壊させていきます。
ブラックな介護施設:研修だけで解決すると考えている
職員が起こす虐待ではなく、対象者の家族が「家庭内で起こす虐待」については、家族の知識不足などが影響しているかもしれません。
先に述べたように介護・福祉の従事者は、虐待をしようと思っているわけではないのです。
基本的に日頃から現場で研鑽している、または虐待防止の研修を受けていると知識としてはたまっていくと思います。
ですので、虐待防止に関する一定の知識があって業務していると考えていいです。
「なぜそれなのに虐待が起きるのか?」
いかに、監視カメラをつけようが、透明性のある事業所の構造になっていようが、虐待は起きます。
その理由は、やはり精神的な負担が、対象者に対して攻撃的なものになっていくからといえます。
根本的な原因は、「職員のストレスケアを組織的にどのように行うか?」というのが、虐待防止のたったひとつの方法になります。
「虐待防止研修をしているから虐待はなくなります」ということは絶対にありえません。
学べる素地があって、初めて研修というのは効果が発揮できるものです。
日頃の業務に、すでに余裕がないのに新しいことを学べるはずがありません。
ブラックな介護施設:介護・支援は連鎖する
「虐待」や「不適切なケア」は必ず連鎖します。
職員の人格的なものによる虐待であれば、周りの職員が止めることができます。
研修などはその時こそ有効です。
「周りの職員が止めることができる」事は、組織的な能力は高いと評価できます。
逆に「虐待を止めるような組織的な力がない」のであれば必ず連鎖します。
その時は虐待は個人の問題ではなく組織の問題になっていきます。
比較的、離職率が高い職場は虐待が起きやすいと経験上考えています。
利用者に虐待の矛先が行かなくても職員に行く可能性もあります。
その時は、パワーハラスメント等のハラスメントにあらわれていきます。
ストレスを抱えて常に仕事をしていく事は、それだけサービスの質を低下させるのです。
社会的に大きな問題に発展した時は、事業所閉鎖もあり得る事態になります。
その際は虐待を起こした職場にいた職員という経歴がつき、転職活動に影響がでる可能性は高いです。
介護士のストレス緩和:サービス満足度につながる
「不適切なケアの防止」「虐待防止をする」ことは、「職場の満足度」にも繋がります。
職員に余裕があって、ストレスもあまり感じない職場であれば、利用者の支援や介護に余裕を持って取り組むことはできることが、イメージしやすいと思います。
そのような職場の中では、組織的な虐待が起こるリスクが限りなく低くなります。
採用に関する基準も、人材不足で「未経験の方」や、急募のため「とりあえず採用する」こともありえるかもしれません。
それでも、基準をもって「選ぶ」ことが必要です。
「一定水準のある新職員を迎え、その後教育をする」そういった一連の採用行動があって、働く職員は他職員とも協力して仕事をすることが可能になってきます。
つまり、仕事の方針や考え方がそろっている組織なると、団結力が強くなっていきます。
その上に職員の満足感も培われてきます。
なので「虐待防止をする」ことは、職員の満足度を高めること共通しているのです。
虐待防止に関する責任を職員個人だけに任せて、組織が責任をとらないのは滑稽です。
基本的に「職員に何も与えず、搾取だけする職場」はブラックな職場だと思ってください。
職員満足感を向上させる事は、「給与」だけと考えているのであれば、そうではありません。
給料をあげても、モチベーションは長続きしないのです。
モチベーションを長続きするためには「居心地=働きやすさ」を良くする必要があるのです。
それが「不適切なケアや虐待防止」につながっていきます。
まとめ:ブラックな介護施設:介護士のストレスが不適切なケアになる理由
表面的には「良い職場」のように見えて、実際に働いてみるとすごく「劣悪なサービスを提供している」職場は多くあります。
ホームページや求人票だけでは絶対にわからないのです。
だからこそ可能であれば職場見学は必ず行きましょう。
応募した時に、「職場見学を勧められる事業所」は基本的に自信があると考えている職場です。
ですので、職場見学を逆に勧める事業所は安心して良いと考えても良いです。
もし職場見学を勧められなかったら、見学をお願いしてみましょう。
その時、利用者や職員の方が笑顔で過ごされている姿があれば、サービスの質が高く安心して働けるのではないかと思います。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。