転職をしない方がいい人は?【ケース別:3選】
人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
介護・福祉の業界では「転職が多いキャリアをもつ人材」があまり受け入れられない傾向にあることも事実です。
その根本の部分が、「人手不足」と「ノウハウの欠如」にあるため、急な欠員は非常に雇い主(事業所側・職場側)は困る状況になるわけです。
そのため「転職はしやすいけども退職はしにくい状況」が生まれます。
しかし、人手不足の職場が介護・福祉現場では多い問題で、過重労働などのブラックな状況が出てしまいます。
もしブラックな状態で働いているなら、転職する方が断然おすすめです。将来的にはブラックな職場は淘汰される傾向にあるので、ブラックな職場では将来性がなくなる可能性が高いです。
しかし、そうはいっても「転職しない方がいい人もいる」もいます。
転職することによってキャリアに支障が出てくることもありますし、逆に今の環境よりも難しくなることもあります。
今回は、転職しない方がいい人をケース別で紹介します。
・転職を考えているが、迷っている方へ
・転職でキャリア構築を考えている方へ
\ あなたにとって理想の職場/
転職をしない方がいい人って「どんな人?」
私は介護福祉業界で長年働いてきましたが、転職をしない方がいい人が無理に転職しようとすると、どんなに準備をしても失敗することが経験上よくあります。
転職をしない方がいい人が失敗する理由の中で最も多いのは、自己分析の仕方が間違っていることです。
自己分析の方法は様々ですが、「自分のしたいこと」や「気持ちを優先する」のであれば、本来、転職をしない方がいい人というのは存在しません。
転職を繰り返したほうがキャリアが築きやすいでしょう。
しかし、転職活動において、「待遇が良くなる職場」や「学びのある環境」などの条件がある場合、自己分析の方法は業界の動向や現職の環境も含めたものが必要になってきます。
介護・福祉業界は常に働く人の数と質が重要
少しずつ、介護・福祉現場の働きやすさも改善しつつあるような傾向にはありますが、根本的に人手不足というものがあるため、働きやすい環境にするためには事業を縮小・もしくは、停滞させない限りは難しくなってきます。
新規事業を立ち上げ、事業所・施設数を増やして経営拡大することも良いのですが、従業員の確保が課題になってくることが多いです。
仕事の効率はもちろん重要なことですが、「ケア」の性質上、「人へのサービスに対する時間」は削減しにくいのです。
それを削減しようとすれば、ケアの質が低下し利用者離れがおき、職員は退職が続くなど経営状態が悪化することさえあります。
経験則になりますが、介護現場の実態は、職員の配置基準があるため、現場ではそれを守らなければなりません。
人員配置基準で定められた人数のギリギリで仕事すると、黒字化ができ、「黒字経営」として持続していくことは可能になりますが、介護職員は実際のところ、介護業務だけをやってるって言うわけではないので、事務系やその他運営に関わるものを職員がしなければならないことはザラです。
ですので、それを肩代わりする事務系の職員などを雇うと、それだけ業務専従はできて、介護職員の負担は減るけども人件費が上がるということになります。
つまり報酬体系や運営上の基準も課題になってくることが多いため、福祉経営は困難を極めることが多いです。
職場(法人)が大規模になってくると、それだけ安定してくる印象があります。
現行の報酬制度で考えると、人件費を圧迫しやすいことになっているため、そもそもが業務効率を上げて、(人がいらない状況やAIの代替など)で「働く環境を整える」ことは、福祉業界・医療業界では難しい状況にあります。自動化できるのは、あくまでも事務的なものに限定されるかもしれません。
当然のように人件費が上がってくると事業を縮小するということになりますが、そうなってくると事業収入が減ることになります。
「転職はしやすいけど、退職しにくい」業界が介護・福祉業界といえます。
ケース別の「転職をしない方がいい人」
早速本題に入っていきますが、3つほど転職をしない方がいいタイプがあります。
実際は、「転職をすべきかどうか」を結論づけるには、「自分自身の環境より、職場の環境によることが多い」と私は考えています。
ここで述べる転職をしない方がいいタイプは、「転職が失敗しやすいタイプ」と置き換えてもいいです。
逆にいうと「転職しない方が成功しやすい」ともいえます。
「働く価値」をしっかり見極めましょう。
ケース1.大規模法人に勤め「出世欲がある」タイプ
介護・福祉業界は「下積み時代」が大切になります。
この下積み年代は「専門職であればあるほど、大事な時期」でもあります。
ですので、若い年齢のうちにあまり転職を繰り返すことは、下積みを作れないという状況にもなりかねないため、基本的に転職を繰り返す人= ノウハウ やキャリアを持たない人という風潮があります。
この風潮は専門的な知識・技術が特に必要な業界は多いです。
もちろん転職を繰り返すことを「ネガティブ」として評価をする職場ばかりではないと思いますが、基本的に介護・福祉業界では転職歴が多い方にネガティブな見方をする法人が多いような気はします。
介護・福祉業界では転職する際には、「量=就職先候補」には全く困りません。
難しいことは、「選ぶこと」です。
転職を繰り返すことは、介護・福祉業界では受け入れられにくい傾向にあります。
「転職を繰り返しても影響はない」という意見は、「就職のしやすさ」をメインにおいている意見であり「出世・ポジション採用」を考えると、キャリアとしての信頼性は低くなります。
しっかりと転職先を調べることができることが条件です。
出世欲があり、経営的な思考があっても小規模な職場であれば、この小規模な職場は、例えば親族経営だったり、もしくは偏った考え方で福祉的な事業とは違う運営していることも多く、逆に従来の福祉業界の考え方であった「奉仕精神的な考え方」でビジネスとしてなっていないこともありえます。
ですので、そのような職場で出世欲を持つことは、報われることが少ないような気がします。
転職先をしっかり選べる能力さえあれば、転職は「全然OK」だとは思いますが、もし条件に当てはまるような現職であれば、もしくはそのような能力があるのであれば、将来的に出世をする方が給与が格段に伸びる傾向にはあると思います。
実際のところ、社会福祉法人は 顕著ですが、役職者あたりは現場上がりの人を据える傾向にあります。
また、長く勤めてくれる人の方が都合がいい場面が多く、「長年勤めている」だけでも出世条件としてなりやすいのです。
大規模な法人であれば、出世をする条件が「勤務年数による」こともありえますので、「早く出世したければ転職をしない」考え方が良いかと思います。
逆にいうと、転職を繰り返してしまうと「出世しにくい」ともいえます。
可能であれば「一つの勤務先」で勤務歴が5年から7年はあった方がいいかなと思います。
ケース2.ホワイトな職場に勤めている場合
例えば、社会福祉法人の中でも「健康経営優良法人」という称号を持っている法人もあります。
外部からの評価・認証制度を利用している職場は、それに適合し続ける必要があるため、職員の健康状態だったり働き方というのに常に気を配っているといえます。
ですので、わざわざ社会的ステータスのある職場を辞めることはおすすめしません。
特に全年代で、人生的なイベントが多いため「ホワイト企業」と認定されている法人に勤めることができれば、結婚や出産などの充実した福利厚生を受けることが可能です。
ですので、「収入だけ」を考えてしまうと転職の失敗をしやすいかと思います。
例えば、出産などのライフイベント時に「出産したら、職場にできるだけ早く戻ってきてほしい」となれば、「出産・育児を楽しめない」状況もありえます。
そのようなことになると、必ず精神的な疲れというのが出てきます。
家庭内の問題に発展する可能性もあります。
ですので、ワークライフバランスは転職において重要なのですが、そのようなワークライフバランスを促進している職場は増えつつありますが、それをしっかりと叶えられている職場というのは まだまだ少ないです。
健康に関する不安がある方も、ステータスのある職場であれば転職しない方が良いでしょう。
理由は、既存の職場がその不安を理解し、配慮してくれる可能性があるからです。
新しい転職先では、同様の健康的な配慮が期待できない可能性があるため、慎重な判断が必要です。
ケース3.明確な理由がなく「なんとなく」のタイプ
はっきりとした理由がないまま、なんとなく転職を考えている場合、急いで転職する必要はありません。
転職が成功しやすいのは、具体的な条件が明確な人です。
前職で満足できなかった点から、次の職場に求める条件が明確になることがあります。しかし、前職が満足できる部分も理解していることが多いです。
そのため、「転職すべきか・しないべきか」どちらが良いかを検討できます。
要するに、「何となく刺激が少なく感じるから・・・など」といって転職を急ぐのは避け、もう少し我慢してみるか、または受け身ではなく積極的に自分から仕事に取り組むことも一つの選択肢です。
まとめ:転職をしない方がいい人は?【ケース別:3選】
転職の判断は、自己分析によります。
それには、今いる職場環境も踏まえた分析が必要です。
出世欲があり経営的な思考ができる人材だとしても、職場に恵まれてなければ「勤める価値」は見出せなくなります。
「転職を繰り返してしまう」
その理由が根拠を説明できるものであればあれば大丈夫ですが、理由がリサーチ不足により職場に恵まれないということは避けたほうが良いです。
例えば「合わなかった」「人間関係が・・・」ということであれば 、問題のある人材として捉えられかねない時もあります。
ですので、できれば 5年から7年は 待ったほうが良いとは思います。
しかし、今回のケースに当てはまらなければ、むしろ積極的に転職した方が将来的に自身にとっていいことは間違いないと思いますよ。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。