人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
「情報共有をしてください!」
「なんで言ってくれないんですか?」
介護・福祉の職場では「超あるある」です。
情報共有の重要性を分かっていない職場・人がいるからです。
職場によっては、重要性は分かっているけども、具体的な対策がないということもありえます。
こんな職場で働くのは苦痛ですよね?
だって事故・クレームが起こる可能性が高いんだから。
仕事が順調でも、情報共有が滞るとどれほど困難な状況に陥るか、ご存知でしょうか?
「介護職」「福祉職」の皆様にとって、情報共有は業務の要と言っても過言ではありません。
職場のなかで情報共有がないと、ケアがスムーズに進まないだけでなく、介護や福祉に関わる大切な情報が不明になり、利用者や関係者にとっても、そして何よりも、あなた自身にとっても深刻な問題になります。
情報共有が行き渡らない状況では、何か問題が起きた際、的確な対応ができない可能性が高まります。
例えば、福祉職の現場で「情報共有されない職場」では、一貫性のないケアや支援になり、結果として利用者の人生・安全や健康に影響を及ぼしかねません。
そして、情報共有の不足は、あなたのキャリアにも大きな影響を与える可能性があります。
しっかりとした情報共有がない職場では、個々のスキルや成果が適切に評価されず、あなたが持つ力を最大限に発揮することができません。
今回は「職場の情報共有」をテーマにお伝えしたいと思います。
・情報共有をされない・しない職場に勤めて対策を悩んでいる方へ
・原因が「人材問題」か「職場の環境問題」かを見極めて対応しましょう。
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職場の情報共有:「しない・されない」が起きる理由
介護・福祉の現場で情報共有が不足すると、事故発生率が著しく上昇し、業務進行やケアに必要な情報が不十分なままとなります。
なぜ重要とされながらも、この大切な「情報共有がない・されない職場や人」が介護・福祉の現場で存在するのでしょうか?
それにはいくつかの要因が潜んでいます。
まず、一つ目は職場の体質の問題です。
例えば、個人情報を取り扱う介護や福祉の現場では、個人情報の保護を理由に、必要以上の情報開示を避けるルールが存在する場合があります。
この規則のもと、職員は何を開示してよいかが不透明となり、結果として情報共有が抑制されてしまうことがあります。
二つ目は、情報共有のシステムの問題です。
情報共有が重要と認識されつつも、忙しさの中で共有の時間を確保することが難しくなります。
人がまばらになれば、情報共有の場が効果的でなくなり、情報伝達が滞ることがあります。
三つ目は、人材のレベルに関する問題です。
コミュニケーション能力が未熟な人や情報共有を優先しない人は、感情的に物事を判断しやすく、ネガティブな傾向が見受けられることがあります。
つまり、コミュニケーションのレベルが低い場合、情報共有が難しくなります。
これらは全ての場合に当てはまるものではありませんが、ストレスがたまると無口になったり、厳密な情報が必要にも関わらず分かりにくい言葉を使う傾向が見られることもあります。
情報共有の不足は、これらの要因が絡み合って発生することが多く、個々の職場や人の特性によっても異なる挑戦が生じることを理解しておく必要があります。
情報共有を「しない・されない」職場:体質の問題
介護・福祉の職場に関しては、「タイトなスケジュールをこなしている」事業所も多いです。
「全員が一度に集まる」そして「情報共有する」
その時間すら「ない」とする事業所も少なくないです。
職員同士が情報共有できる時間が、圧倒的に不足しています。
介護・福祉の仕事で、情報共有が職員同士で取れない状況は対象者・利用者の人達を「危険な状況にする」ことに直結します。
例)
利用者の中には「状態が悪くなった時のみ服薬を行う」方がいらっしゃいます。
ですので、ルーティンの服薬というわけではありません。
それを「知っている職員」と「知らない職員」がいます。
上記の状態が、非常に危険な状況であることは容易にイメージできると思います。
「知らない職員」が、「状態の悪い利用者」を発見した場合、「服用する行為」が遅れてしまうことになります。
ですので、情報共有は「常に・頻繁に・濃密に行うべき」なのです。
情報共有を「しない・されない」職場:情報共有のシステムの問題
「報告・連絡・相談」の技術として、「何を報告すればいいのか?」「報告しづらい」そのようなこともあります。
「報告しづらい」は、人間関係が関係していることもありますが、上手く口頭で説明することができずに「報告しづらい」こともあります。
そのため職員自身は、報告を「詳細」にしようと努力しますが、時間がない中で、報告しなければなりませんので、コンパクトに話してしまうこともあります。
また、コンパクトに報告することを求められます。
この「コンパクトに話すこと」に関して結果として、「伝わっていない」ということもあります。
これが「情報共有の不足」を招きます。
何を報告すればいいのか?
どのように報告すればいいのか?
圧倒的に教育の時間が足りていないのです。
それを回避するために報告のテンプレートを使用している事業所もあります。
情報共有のシステムの問題:ICT技術導入の難しさ
「情報共有の重要性」を感じながらも、改善できない事業所は多いです。
そのため、介護・福祉の現場にICT 技術を導入することはメリットが大きいと言えますが、その反面強いデメリットもあります。
常にリアルタイムで、情報共有ができるような「ICT 技術を導入している」事業所もありますが、「その技術を現場で誰しもが反映できる状況」にならなければなりません。
導入するだけで「満足して結果として教育が全くなく、意味がない」こともありえます。
職員全体に「ICT技術での業務」を押し付けると「ICT・PCアレルギー」の職員が増えるだけです。
介護・福祉の職場は、年配の職員や気軽に働きたいパート職員の方もたくさんいます。
押し付ける環境は望ましいものではありません。
典型的に「ICT技術の導入で自己満足している事業所」の多いケースとして、ICTスキルに長けている職員に「業務負担が集中する」状況が発生します。
ICT技術は「全員が使えるもの」でないと効力を発揮しないのです。
「身の丈に合わない」ICT技術の導入は「負の面」も生み出す場合があります。
ICT技術に関しては、その導入を「専門業者に一任すること」が多いと思います。
専門の業者が提案してきたものが、「良い」と、業者の判断に任せているような導入であれば「しないほう」が良いかもしれません。
「ICT技術で、情報共有の不足を改善できている職場」は、ICTスキルに長けている職員を多く採用しているか、全職員にICTに関する研修を多く提供しています。
簡単にICTを導入すれば、「情報共有」に関しての解決になると考えるのはよくありません。
基本的に「対面での情報共有」に勝るものはありません。
情報共有を「しない・されない」職場:人材のレベルに関する問題
職場で情報共有を怠る人にはいくつかの特徴が見受けられます。
1.情報伝達/理解の不足
情報伝達の能力が低いことがあります。
介護や福祉の仕事において、この情報伝達の能力は非常に重要です。
普段の雑談が得意でも、情報伝達力が不足していると、正確に物事を伝えることが難しくなります。
また、情報を理解する能力が未熟な場合もあり、これは経験値や他の要因にも影響される可能性があります。
2.信頼の不足
情報共有は信頼の構築に密接に関連しています。
情報を守り、適切に共有するためには信頼が不可欠です。
情報を共有しない人は、他のメンバーに信頼されていない可能性が高いです。
これは人間関係を乱し、特定の人材にしか情報を流さない、
または嘘の情報を流すなどして、人間関係の構築を難しくすることがあります。
3.情報の重要性の理解不足
一部の人は、情報共有の重要性を理解していないか、他の仕事や目標に優先してしまっていることがあります。
自分の業務に過度に集中するあまり、他のメンバーにとって有益な情報共有が疎かになることがあります。
4.競争心理
一部の人は、職場内での競争心理が強く、情報を持っていることが自分の利益になると考える傾向があります。
そのため、情報を秘密にし、他の人と情報を共有しないことがあります。
これらの特徴は、ケースによって異なりますが、情報を共有しない人が示す傾向として挙げられます。
情報共有がない職場で働く際は、これらの特徴に注意を払い、自分のスキルやキャリアに影響が出ないように慎重な判断が求められます。
職場の情報共有「しない・されない」:対策は?
残念ながら、職場での情報共有が十分に行われず、それに対処する方法を見つけることは容易ではありません。
しかし、長期的な改善を望むなら、焦らず段階的な対策が必要です。
そこで、情報共有が不足している介護職・福祉職での状況に焦点を当て、改善策を考えてみましょう。
1.「目標と重要性の明確化」
情報共有の目的やその重要性を明確にしましょう。
例えば、なぜ情報共有が必要であり、情報共有せずに失敗した場合の責任をどのように取るべきかを示すことで、情報共有の意義を理解しやすくなります。
また、人間関係の好みによる情報取得の格差も解消され、円滑な情報フローが期待できます。
ですので、個人的にはこれが一番おすすめです。
2.「教育」
全体に対してコミュニケーションスキルや情報共有の重要性に関する教育を行いましょう。
これにより、各職員が自らの役割を理解し、適切な情報共有が可能になります。
アウトプットに対するリーダーからの賞賛があれば、組織全体で情報共有が当たり前になりやすくなります。
3.「ポジティブな職場づくり」
情報を積極的に共有する行動に対しては、積極的な評価を行いましょう。
リーダーが積極的に情報を共有することで、メンバーのモチベーションが向上し、情報共有が浸透しやすくなります。
4.「組織文化の醸成」
組織全体で共有文化を醸成し、情報共有が価値あるものとされるように努めましょう。
これにより、メンバーは組織の価値観に従って情報を共有し、協力的な職場文化が根付きます。
リーダーとなる管理者クラスの人材も仕事が楽になりますよ。
(上記に関連した記事はこちら>>)
これらのアプローチを組み合わせ、職場の情報共有を改善していくことで、より良い労働環境が構築され、自らの情報共有能力を向上させることが期待できます。
「目標と重要性の明確化」は、職場環境の改善にもつながりますよ。
まとめ:職場の情報共有:「しない・されない」は人も福祉施設も超危険
介護・福祉の仕事は基本的にチームワークです。
「一人で何かを達成できること」はほぼありません。
介護・福祉の仕事は、情報共有をした上で、チームで決定していくことが「基本的な意思決定プロセス」です。
そのため「協調性が高い人が求められる」といわれますが、「組織や人間関係を乱さない」ことに捉えられていることもあります。
協調性の意味その協調性が「人と仲良くできる」レベルのものであれば必要ないです。
チームワークのためには、「仲良くないより、仲良いほうがいい」とは思います。
介護・福祉の仕事は、利用者主体に物事を考えていくことが大原則です。
職員と仲良くする必要はありません。
利用者主体を達成するために「協調すること」が必要なのです。
ですので「質の良い支援・介護」をしていくためには、意見のぶつかり合いがあって当然です。
「意見のぶつかり合い」というと「人間関係が悪い」と考えるかもしれませんが、むしろ「利用者のことを真剣に考えている職員・職場」と言えますので、「働きやすい」といえます。
ですので「意見を全く言わない職場」は人間関係が悪いことが多いです。
情報共有が「うまくいっている」から、「意見が出る」のです。
情報共有が「うまくいっていない」事業所は「不満」が出ます。
つまり「情報共有がうまくなっていない職場は、事故率が高い上に、人間関係が悪い」のです。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。